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メッセージ・バイオグラフィー・展覧会
Artist’s Message
from 大西左朗
信楽は、世界にここにしかない良質の粘土が採れる産地です。基本的には原土に余り手を加えずに、粘土の素性や個性を生かすような作品作りを行っています。
原土の個性を生かしたくて、良い方法はないかと試行錯誤を繰り返すうちに作品の幅が自然と広くなっていきました。無釉焼締めのものから様々な釉薬や形態のもの。同じ人が造ったと思えないと言われています(言われたりします)。
お茶、特に日本茶が好きです。最近は急須や土瓶などの茶器やお茶道具に注力しています。小さく、お茶を淹れるための機能性、道具として使えるかが重要なため作品としての制約はあります。が、凝った装飾よりも、粘土や焼成から生まれる表情を生かした茶器づくりを目指しています。
お茶の世界は奥深いもので、原料の茶葉はほぼ同じですが世界には様々な種類のお茶が存在します。日本茶といえども飲まれ方は各地で違います。でも、道具をみるとどこでも同じような形態のものを使っています。茶器は万国共通の道具とも言えます。
これからは世界中の人々に使ってもらえるような作品を作っていきたいと思います。
信楽焼について
About Shigaraki Ware
滋賀県南部、古代より交通の要衝であった信楽、1250年前には一時期都も置かれた土地(古都)。この地で作られる焼き物は信楽焼と呼ばれ、「日本六古窯」の一つにも数えられる。400万年前の古琵琶湖層から焼き物に適した良質な粘土が採れること、四方を山に囲まれ薪が豊富にあったこと、また京の都に隣接していたことから13世紀後半(鎌倉時代)に始まり、その後陶器の一大産地として発展を遂げた。
伝統的な製法でつくられる信楽焼は土味を生かした独特な風合いが特徴。釉薬を使わず、薪を燃料とする窯で高温焼成し素地を焼締めるため「焼締陶器」と呼ばれる。灰被り(はいかむり)や焦げなど、焼成の過程で素地が変化し作り出される「多彩な景色」が魅力で、割れやゆがみも含め古くから多くの茶人や文化人に珍重されてきた。
多様で柔軟性のある産地であることも信楽焼を語るうえで欠かせない。耐火性と可塑性に富んだ信楽土の特性と熟練の術は繊細な造りの小さな茶器や食器から壺や風呂・エクステリア用品の大きな物まで、時代のニーズに合わせ様々なものを産み出してきた。その精神は引き継がれ、ここ信楽では今も伝統を踏まえての新しいものづくりが日々行われている。
バイオグラフィー
1964
滋賀県信楽町生まれ
1988
東洋大学社会学部応用社会学科卒
1993
京都府立陶工高等技術専門校図案科修了
2013
信楽焼伝統工芸士(総合部門)認定
過去の展覧会
1994
めん鉢大賞展(東京ドーム)
1995
個展 (ギャラリー紅/京都)
1997
個展 (ギャラリー陶園/信楽, ’07)
1998
関西の作家達による器展 (陶庫/益子、~03)
1999
4人展(神戸阪急百貨店)
2001
個展 (KOHARA/信楽、’04、’06、’11, ’13 )
2004
海を越えて 陶額と写真展 (安養/韓国、東京、京都、大津)
2005
個展 (ギャラリーRirun/西宮、陶庫/益子‘06)
2006
第六回 益子陶芸展 (益子陶芸美術館)
第17回秀明文化基金賞受賞
2007
韓国江南大学+陶芸の森 韓日交流展 (ソウル、 ’08京都)
現在形の陶芸 萩大賞展 (山口県立萩美術館,’19)
2008
第一回いまどき、しがらき、かやりき展 大賞
2009
蚊遣り器展 (Hodge Podge/京都 ’11’14)
個展 (朝日堂/京都)
2010
信楽の「今」 (信楽伝統産業会館)
個展 (くりくほ/金沢 ’12)
2012
しがらき焼Ⅱ大西忠左と勅旨の名工展 (陶芸の森・陶芸館)
2013
アレもコレも-新時代の焼き物への挑戦 (陶芸の森・陶芸館)
個展 (ギャラリー悠/静岡, ’15,’19)
2014
個展 (京王百貨店 美術工芸ギャラリー/新宿’15,’17,’19.’21)
香りのうつわ展(香老舗松栄堂/京都本店,大阪本町’15,’17)
2015
日本煎茶工芸展 (黄檗山 萬福寺/宇治,`16,’20)
2017
日本伝統工芸近畿展 ・急須展 (ギャラリー龍/京都,’20)
2018
第11回現代茶陶展 (セラトピア土岐 /土岐市 岐阜)
2019
Maに集う/器・響・華・香・空間展 (似て非works /横浜)
信楽土の賦12人展(柿傳ギャラリー/新宿)
講演等
成安造形大学付属近江学研究所 連続講座講演